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直言

鈴木隆夫(一般社団法人徳洲会理事長 医療法人徳洲会専務理事)


徳洲新聞2011年(平成23年)2/7 月曜日 NO.760 バックナンバーページへ

一致団結して徳洲会を「世界の厚生省」に育てていこう~徳洲会のメディカルツーリズムの夜明けは徳田ソフィア病院から~

日本政府は、ロシアや中国、カンボジアなどに高度な医療技術や機器、サービスなどを含め病院を丸ごと輸出することを決めました。また1月には、メディカルツーリズムで日本を訪れ、病気の治療や健康診断などを行う外国人と付添人に対し、「医療滞在査証(ビザ)」を創設。病院の輸出と、外国人のメディカルツーリズムの受け入れ促進を2本柱としていく意向です。

しかし、病院というハード面だけの輸出では現地の医療に貢献できるとは思えません。たとえば、日本政府からモンゴルに寄付された透析機器は5台のうち1台しか稼働していませんでした。機器を送るだけで、メンテナンスを教えていないからです。

徳洲会はブルガリアに徳田ソフィア病院をオープンしたのをはじめ、アジア、アフリカ各国に透析センターを開設してきました。自前で病院やセンターを運営できるようにする徳洲会のノウハウ、つまり「魚をもらうのではなく、魚の釣り方を自分のものにする」ことを現地の人たちに本気で求め、魚の釣り方を共に学ばないと病院の継続は不可能といえます。

2006年のメディカルツーリズムの世界の市場規模は5兆円で、12年には8兆円になると予測されています(観光庁発表)。シンガポールやタイなどは、すでにこれに取り組んでいます。シンガポールの場合、08年のメディカルツーリストは64万6000人。タイでは100万人超といわれ、患者さん1人に対して看護師1人という病院まであります。特筆すべきは、メディカルツーリズムを実施する各国の病院が、国際的な病院品質基準JCIの認可を受けている点です。ちなみに、日本で認可を受けているのは一病院のみ。

これから先、徳洲会が海外の保険会社や旅行社の指定を受けるにはJCIの認可が不可欠です。認可には、1000万円を超す費用と最低2年の歳月を要します。これから新築移転する病院は、それを念頭に置いた準備が求められます。

困っている人たちを救いたいという、単純明快な原則

イギリスはおよそ60年前、国民の誰もが無料で医療を受けられる国営医療制度(NHS)を創設し、「ゆりかごから墓場まで」と謳われた制度を誇ってきました。それが今年に入り、経済の悪化に伴いこの制度の放棄を決議し、競争原理を用いた民間医療を参入させ、健康保険費2兆6000億円の削減を目指します。昨年10月、医療などを除く予算を平均約20%減額することを発表していたのですが、さらなる方針転換がなされました。

一方、ブルガリアでもギリシャの経済危機に端を発した不況に見舞われ、医療費予算のカットが実施されました。各病院は、前年実績に基づいて決められた予算内の医療しかできない状況に置かれたのです。予算額を超えた診療分には保険支払いがされず、診療を拒否される患者さんが続出。そのため、多くの患者さんが徳田ソフィア病院を頼って来られています。数年前には予想すらできなかった状況です。医療収入を国が保証するという神話は、崩れ去ったのです。

徳田ソフィア病院は、保険収入に頼らなくても経営が成り立つ方法を皆で考えてきました。その一つがメディカルツーリズムです。欧州各国や北米、中近東からのツーリストが増え、最近では自費診療が5割を超えています。ブルガリアで始まったメディカルツーリズムは、徳洲会のメディカルツーリズムの夜明けだと自負しています。徳田ソフィア病院では、メディカルツーリストがよりよい環境で診療を受けることができるように病室の改築を行い、ウィーン大学との提携で体外受精センターを開設。ケンブリッジ大学は、経済の崩壊であぶれた患者さんに同大学の医師が同行し、自費で医療を受けるプログラムの実施を検討中です。徳田虎雄理事長が、欧州の最貧国であったブルガリアに徳田ソフィア病院の開設を決断したのは、離島・僻地の病院やアフリカの透析センターと同じように困っている人たちを救いたいという単純明快な原則に従ったからです。

私たちが明日を創るために今日何をなすべきだろうか

地球環境の変化で滅びた恐竜と同様に、変化に対応できなければ病院は滅びます。国の掲げる医療改革シナリオでは、現状の一般病床133万床、平均在院日数20・3日から、大胆な改革案によれば急性期病床67万床、平均在院日数10日、職員数倍増と厳しい目標を掲げ、在宅を数十倍に。来年4月の診療報酬改定では看護基準の7対1から5対1への引き上げが噂され、実行されれば急性期病床半減というシナリオがさらに現実味を帯びてきます。当然、環境の激変に対応が遅れた病院は恐竜のように絶滅するでしょう。

私たちは、今や未来を予測することができなくなっています。バブルの崩壊も、リーマン・ショックもギリシャ危機に端を発した欧州金融危機も、誰もが予想し得なかったのです。まして、それらが保険医療や社会保障にこれだけ大きな衝撃を与えるとは想像もできませんでした。日本も今、確実に経済危機に向かって進んでいます。イギリスやブルガリアのように保険医療費が突然1~2割カットされないとはいえません。それでも明日を創ることはできます。明日を創るために、今日何をなすべきかを決めることはできます。経営の根本、「入るをはかり出るを制する」はどの時代でも真実です。

どんな組織も単独で生き残ることはできません。徳洲会の一人ひとりは平凡でも、集団で事に当たるとき俄然力を発揮してきました。その集団の力の根源は、私たちの仕事は人のため、世のため、そして仲間たちのためになるという自信にほかなりません。理事長が唱えてきた弱者のため人のための医療、これが徳洲会を「世界の厚生省」にすること、それが私たちの生存が許される道と信じています。

皆で頑張りましょう。

 

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