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徳洲新聞ニュースダイジェスト

徳洲新聞2008年(平成20年)2/18 月曜日 NO.608 過去のダイジェスト

糖尿病、メタボなども外科手術で治療 〜日本肥満外科治療センター 鎌ケ谷総合病院〜

4月1日から、鎌ケ谷総合病院で日本肥満外科治療センターがスタートする。千葉大学大学院医学研究院の川村功臨床教授(下都賀総合病院院長)に加え、日本を代表する3人の専門医師が治療に当たる。

川村功臨床教授
川村功臨床教授

1月26日に開かれた徳洲会グループ1月度医療経営戦略セミナーで、川村教授は「肥満外科治療について」と題して講演を行い、その中で、日本肥満外科治療センター開設に至る経緯について次のように語った。
「同級生の堀川義文・中部徳洲会病院名誉院長に紹介され、徳田虎雄理事長と面談しました。また、鎌ケ谷総合病院の前田清貴院長の熱意に負け、4月1日付で同院名誉院長に就任、日本肥満外科治療センターでの診療をスタートさせることになりました」
 同教授は国際肥満外科学会日本支部代表、アジア・パシフィック肥満外科学会会長などを務める肥満外科の第一人者。68年に千葉大学医学部卒業後、同医学部第2外科(中山外科)に入り、79年にはハーバード大学に留学し、肥満外科を学んだ。
「私が学んだジョージ・ブラックバーン教授は外科栄養法の第一人者でしたが、その仕事の多くは肥満患者さんに対する診療であり、その中心が肥満外科手術で、当時の米国ではGastric Bypass(胃バイパス術)が主流でした」
 川村教授は81年に帰国。千葉大学第2外科に戻り、肥満外科を開設する。82年には本邦初の胃のバイパス手術を実施。この時の患者さんは、手術後1カ月半で16kgも痩せたそうだ。
 しかし、日本では胃がんの発生率が高いところから術式が再検討された。その頃から“肥満外科の父”と称されるアイオワ大学のエドワード・メイソン教授が提唱した、Vertical Banded Gastroplasty(VBG:垂直遮断胃形成術)が急速に広まる。川村教授はメイソン教授の指導を受け、84年からこの術式を採用したという。
 86年には、「重症肥満の外科手術」の項目で高度先進医療として厚生省(現厚生労働省)に認可され、千葉大学附属病院が施設認定を受けた。
 88年に入ると、VBGをはじめとする「胃縮小術」が保険診療対象疾患として認められ、現在に至っている。

内科の診療では治療後5年以内のリバウンド率が97%

川村教授によると、「私が最初に肥満外科手術を行った当時は、まだ国内で肥満が多くなく、治療も一般化していませんでした。それが、90年代に入って肥満の人が急速に増え始めたのです。これは日本だけでなく、アジアでも欧米並みに重症肥満の人が増えていったのです」。
 その結果、世界各国で肥満外科手術が急増。しかも内科の診療では、治療後5年以内のリバウンド率が97%と悲観的なものであることから、外科治療への依存が高まっていくようになった。さらに腹腔鏡下肥満手術の普及により、手術希望者が急増。それに伴い肥満外科医の数も増えた。
 肥満の外科治療について、同教授はこう話す。
「内科治療では治療困難な重症肥満患者さんに対して、必要十分な体重減少をもたらし、その減量体重を維持すべく、胃や腸に外科的操作を加えることです。それによって、重症肥満に伴う深刻な合併症――多くは複数――を治癒、軽快させることが主な目的です」
 肥満に合併しやすい疾患としては、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症(通風)、動脈硬化、心肥大、脳血管疾患、腎障害、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、脂肪肝、胆石症、不妊症などが挙げられる。
 またメタボリック・シンドロームは、シンドロームX、死の四重奏などと呼ばれてきた複合生活習慣病で、死に至る主要な原因になる。

米保険会社は“肥満は病気ではない”の項目削除

では、外科手術によってどれくらいの効果がもたらされるのか。米国誌『Annals of Surgery』によれば、重症肥満患者さんの5年後の死亡率は、手術をしない場合が6.17%、手術後の患者さんは0.68%(手術死亡率0.4%を含む)。つまり、手術を受けた方の死亡率改善効果は89%にも及ぶという。一方、『Journal of ACS』の2004年10月号では、手術を受けた重症肥満患者さんの1年後の死亡率改善効果は33.0%、15年後の手術なしの死亡率は16.3%で、同手術あり死亡率は11.8%となっている。また外科手術によって肥満に伴う糖尿病や高血圧、高脂血症、SASのほとんどが治癒または軽快している。
「米国の保険会社メディケアは重症肥満への外科治療が安全で有効であると結論付け、04年には“肥満は病気ではない”としていた項目をマニュアルから削除しています」
 そう語る川村教授は、例を挙げて解説を行った。図1はBMI(肥満度)65.4の男性の患者さん(33歳)で、身長171cm、体重191.2kg。それが拡大胃バイパス術(腹腔鏡下)を受けた6カ月後には93.4kgになり、術後6年経っても減少した体重が維持されている。
「日本人は、欧米人に比べて肥満に伴う合併症を起こしやすい。たとえば、太る度合いこそ少ないのですが、日本の糖尿病の患者さんの数は欧米諸国並み。それだけに肥満外科手術は合併症の治療、軽快に有効です」
 表1は、「肥満合併症とその消長」を表したもので、治療効果は明らかだ。
「重症肥満手術によって、糖尿病などのメタボリック・シンドロームの病態が効果的に治癒されるため、最近では欧米諸国を中心に肥満外科手術を“メタボリック・サージェリー(メタボ手術)”と位置付けています」

医師向けの「トレーニングコース」を設置の予定

肥満外科治療センターのスタッフは、川村教授以下、腹腔鏡下で胃バイパス術を122件もこなしている笠間和典医師、腹腔鏡手術の専門医である牧野治文医師、脂肪吸引術や減量後の皮膚の形成術を担当する一瀬正治・形成外科教授(本年3月退官)の3人が中心になってチームを組むことになっている。
 前田院長はこう語る。
「厚労省は“肥満は病気ではない”と言っていますが、実際には肥満から起こる合併症がひどい結果をもたらしています。私たちは病気である肥満を治癒、軽快させることを目的にセンターを開設しますが、とりわけ糖尿病に対する効果は大きいと聞いています。徳洲会グループの病院や施設と連携を密に患者さんを紹介していただき、術後はそちらに戻って治療を受けていただくシステムを構築中です。
 今後は、医師向けのトレーニングコースを設ける予定で、全国のグループ病院で肥満外科手術ができるようになることを目指しています」


第1回 がん治療認定医の合格者1569人

日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会の3学会と、全国がん(成人病)センター協議会の代表で構成される「日本がん治療認定医機構」による第1回のがん治療認定医の合格者が発表され、新たに1569人の認定医が誕生した。
 がん治療に関しては、関連学会による認定医、専門医などの制度が多く、臓器や治療法によって専門化や細分化が進み、患者さんが最善の治療法を受けにくいという弊害が出ていた。さらに専門医のいない地域も多く、がん治療に地域格差が生じている。
 4団体は学会の枠を超えて、「日本がん治療認定医機構」を設立。がんの初期診療から緩和医療まで幅広く対応でき、最新の治療法も紹介できる医師の養成を行い、10年で数万人の認定医を医療の現場に送り出すという。
 今回認定医となった東京西徳洲会病院の古賀祥嗣・腎臓病総合医療センター長は、次のように語っている。
「これからのがん治療にとっては認定医が前提条件となるはず。今回、当院では2人の認定医が誕生しました。今後、がん治療に本格的に取り組んでいきたい」


葉山眺望 徳田理事長の一週間(平成20年1月31日〜2月6日)

31日14時佐藤耕造専務、宮崎部長来室。
15時河原学園河原専務、白石校長、佐伯看護学科長来室。
2日13時研修医一行5名ソフィア病院研修報告。
14時中川局長、服部局長来室。
15時幹部会。
3日15時伊地知稔・力也・和也氏ご家族来室。
16時小田清孝氏、安藤氏来室。
4日13時鈴木専務、能宗総長来室。
5日18時湘南鎌倉総合病院研修医、治験センタースタッフ一行17名来室。
6日15時チュニジア・ハシェッド大使、ダラジ参事官、ミランガ氏来室。
16時能宗総長、茂苅所長来室。
17時鈴木専務来室。
21時佐野先生来室。

今週葉山では、2年ぶりに積雪があり、窓から見る景色は一面の銀世界でしたが、理事長室の中は相変わらず熱気に満ちていました。
2日には、1週間の日程で研修医の先生方がソフィア病院を見学に行かれ、実際にそれぞれ希望する診療科を視察されお互いによい刺激を与え合ったようです。
湘南鎌倉総合病院からは過去3度にわたり研修医の先生方が来室されましたが、5日は診療などで来られなかった先生方と治験センターのスタッフの方々17名が来室されました。各々が今後の夢や目標を話されていました。理事長は世界中を走り回るべきと、さらに大きな夢を描くよう一人ひとりにメッセージを出されていました。
またチュニジアからハシェッド大使が新任の挨拶に来られ、アフリカ各国での病院建設のモデルケースとなるべく、アフリカ開発銀行の協力も得ながら進めていくことが確認されました。


直言 “生命だけは平等だ”の理念で世界中に感性豊かな人材を育てよう 〜徳洲会の理念の実現は教育と実践により成し遂げられる〜

1月24日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、米マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長は、世界の政財界関係者や知識人らを前に講演し、「富める者に報いる仕組みの資本主義を、貧しい者にも報いるようにする方法を見つけ出す必要がある」と発言し、「極度の飢えと貧困の根絶に本気なら、主に女性が担っている小規模農業の改革に本腰を入れる必要がある」と、貧困国の農業支援に3億600万ドル(約330億円)を拠出すると表明しました。
 テレビでこの講演の内容を知りましたが、富める人々と貧しい人々との格差が、世界レベルで拡大し、ビル・ゲイツ氏をはじめとして、ダボス会議に出席された方々は、このままでは世界の秩序が崩壊してしまうのではないか、という危機感を持っておられると感じました。
 すでに、こうした状況をよく承知されている世界の心あるリーダーの皆さんが、徳田理事長に面会を求め、徳洲会の理念に基づいた病院づくりとその運営方法で、各国の医療に協力してほしいという要請を行っています。
 一方、日本で社会的格差が拡大しているという報道を見る度に、社会的弱者が放り出されるようなことがあってはならないと、心が痛む思いをしています。今の日本社会は、特にバブル経済崩壊後、人々の精神的な荒廃が目に余るように思います。すぐに“切れる”若者の増加、親の子殺し・子の親殺し、老人の虐待など、殺伐とした事件が相次いで起こっています。
 私たちには、徳田虎雄理事長が提唱し、実践してきた“生命だけは平等だ”の理念があります。それは、政治や社会の不測の事態に対しても決して動じない為の私たちの精神的支柱でもあります。
 徳洲会は35年前に70床の徳田病院としてスタートし、今では、65病院をはじめ260余の医療福祉施設があり、06年にはブルガリアに徳洲会ソフィア病院が開院しました。さらに今年は、2月に川南病院(宮崎県)が移転新築し、4月に大垣徳洲会病院(岐阜県)が開院。また新設病院では吹田徳洲会病院(大阪府)、京都南徳洲会病院、成田徳洲会病院、武蔵野徳洲会病院(東京都)、生駒総合病院(奈良県)が着工を控え、移転新築では八尾徳洲会病院が工事中、湘南鎌倉総合病院、茅ケ崎徳洲会病院が着工予定です。
 徳田理事長の「地域の要望があれば、病院をつくる」という考えが、35年間でこの広がりをつくったのです。また私たちは一貫して患者様や介護を求める人々の立場に立って、医療や福祉を実践してきました。地域社会との結びつきは、私たちの学びの場でもあります。

今ほど教育が求められる時代はない

古代中国の思想家が、国を立派なものにするためには、教育がもっとも大切だと考え「教育は国家百年の大計である」と書き残したそうです。私も、最近の日本人の精神的、社会的な荒廃を感じるにつけ、教育の再建が最も大切だと思います。
 日本人が長い伝統の中で築き上げてきた躾や道徳心が、今では家庭や学校、さらには社会での教育が疎かになって“良心”という、人として最も大切なものが失われていこうとしているようです。患者様や介護が必要な方への“思いやりの心”を、さらに社会に深く浸透させたいと思っています。
 私たちが体得した“生命だけは平等だ”という理念は、広く若い人々に引き継がれ、伝えていかなければなりません。
 徳洲会は、教育の分野に進出し、「霧島徳洲短期大学」(鹿児島県霧島市)の設立を目指すことになりました。霧島徳洲短期大学は、看護学科(定員80名)、ホスピタリティ経営学科(定員120名)で構成、ホスピタリティ経営学科には医療福祉コース、経営マネジメントコース、観光ツーリズムコースがあり、それぞれ定員は40名。来年4月の開校に向けて準備中です。
 同短期大学設置に動き出した当初は、霧島市は看護学科の設置に反対の姿勢を示していました。しかし、霧島商工会議所の役員の奥様が脳梗塞を起こされ、近くの病院に運ばれましたが、「ベッドは空いているが、看護師がいない」と断られ、別の病院に転送されました。幸い一命はとりとめましたが、少し後遺症が残ったそうです。最初の病院に看護師がいて、少しでも早く処置ができていたら、後遺症もなかったかもしれないと、役員の方は看護学科設置の必要性を痛感され、市側を熱心に説得にあたり、市も誘致に積極的になりました。
 徳洲会では、霧島徳洲短期大学とは別に、より専門性の高い4年制の「湘南徳洲大学」と「静岡徳洲大学」の設立が並行して準備されています。それぞれの徳洲大学は医療福祉系の大学を目指し、まず看護学部から開いていく構想です。両校ともに“生命だけは平等だ”という理念を基礎にした、徳洲会グループ全員の熱い想いに通じる、全人教育の涵養がなされることを切に願っています。

人々を愛し、人々のために働くグループに

ロシアやチュニジア、アフリカ各国で病院建設プロジェクトが急速に進んでいるようです。徳洲会ソフィア病院の開設が実現したことを受け、にわかに各国の動きがあわただしくなったようです。
 また、タイのアジア学院大学の看護学部(徳田看護学校)が開設されて今年で3年目を迎えます。そのカリキュラムには日本語の授業があり、大変な好評を博しています。
 世界中でさまざまに活動する徳洲会グループの基盤は、あくまで日本にあります。私たちは“医療崩壊”とまで言われている日本の医療をしっかりと支えていかなければなりません。また、介護難民と呼ばれる人たちも少しでも多く引き受けねばなりません。さらに現状を支えるだけでなく、私たちの未来の夢を実現するには、人材の教育は必須要件です。たとえ片隅からの小さなスタートであっても、人々を愛し、人々のために働くことができる、感性豊かな優れた人材を育成することが、徳洲会グループの百年の計だと思います。その百年の計の一端を、私たちも担っていきましょう。
 皆で頑張りましょう。

病院だより

事故防止には基本が大切 松原徳洲会病院(大阪府)

第11回ヒヤリ・ハットメモ大会

「第11回ヒヤリ・ハットメモ大会」を2月3日に開催しました。テーマは、「リスクから考えるシステム対策〜改善における個人の意識」。日頃のヒヤリ・ハットを再認識し、各部署から内容の濃い発表が続きました。
 外部講師として茅ヶ崎徳洲会総合病院の津島春美看護師長に、危険予知トレーニングの講義も実施していただきました。
 グループワークでは、参加者全員で意見を出し合い、指さし呼称の大切さを再確認。日常業務の中で職員同士が危険予知に努めるためには、こうした基本が大切になってくると思います。
 今後も、事故防止につながるヒヤリ・ハット事例への意識を全職員が持って、患者さんと利用者さんに質のよいサービスが提供できるよう努めてまいります。
(前田弘志/阪口雄亮)