| 徳洲新聞2008年(平成20年)3/3 月曜日 NO.610 |
昨年の5月以来、継続的に勉強会を重ねてきた国会議員の臓器移植問題懇談会が、「修復腎移植を考える超党派の会」となり、その初会合が2月21日、参議院議員会館内で開催された。

初会合で挨拶をする平沢勝栄衆院議員
レストア腎移植(病腎移植)問題への適切な対応策を探ろうとして呼び掛けられた「修復腎移植を考える超党派の会」の初会合に集まった国会議員は、本人出席41名、代理出席27名の計68名。
発起人には、臓器移植問題懇談会の主要なメンバーである杉浦正健、平沢勝栄、竹本直一、松木けんこう、河村たかし、さらに島村宜伸、深谷隆司、松山政司、中川義雄、佐藤信秋、家西悟、山本博司、各党の厚生部会長である衛藤晟一(自民)、山田正彦(民主)、福島豊(公明)ら15議員が名を連ねた。
会の冒頭、平沢勝栄衆院議員が挨拶。「これまで病腎移植問題について勉強会を重ね、厚生労働省、学会、患者さん、医師などの話を聞きましたが、いまだに合点がいかない。厚労省と患者さんの言い分が、大きく食い違っている。我々は、病腎移植の本当のあり方をニュートラルな立場で考えていきたい」
島村宜伸衆院議員は、「病腎移植によって患者さんの命が救われたという話を聞けば聞くほど、やはり患者さん自身、またご家族の立場で考えるべきだと思います。患者さんの前途に夢を持たせるのが私たちの役割です。各先生は、党派を超えてそうした意思を持っていると思います」と話した。
また深谷隆司衆院議員は、かつての丸山ワクチン問題を引き合いに出しながら次のように述べた。「今回も患者さんの命を守るという大前提に立っての運動です。かつて何万人も助かっているのに、厚労省(当時厚生省)は丸山ワクチンの使用を認めなかった。今回も、患者さんを助ける医師がいて全力で努力をしている。しかも被害者はいない。にもかかわらず、さまざまな面から問題視して、せっかくの医師の努力を無駄にして患者さんの思いもよそに置かれている。これは決して正しい医療行政のあり方ではない。皆で医学を進歩させるためにも、命の危機にさらされている患者さんを守るためにも、鋭意努力していい答えが出せるようにしていきたい」
山田正彦衆院議員は、「摘出された腎臓が、そのまま活用できるのであればこんないいことはありません。衆議院の厚生労働委員会でも臓器移植法問題がいろいろ討議されていますが、この問題も前向きに考えさせていただきたい」と語った。
福島豊衆院議員も同意見。「腎移植を待つ患者さんがたくさんおられても、なかなか移植を受けることができないという我が国の状況がある。科学的な議論をするべきであるはずが、議論の前にその道を閉ざすこと自体、すでに科学的ではないのではないか。この場でしっかりと勉強させていただきたい」
会合では、杉浦正健衆院議員を会長とすることを全会一致で決め、人事も会長一任とすることで合意した。
初会合には、厚生労働省幹部と患者代表も出席した。まず厚労省が、病腎移植問題の経緯を説明。昨年3月末には関係学会が声明を発表し、パブリックコメントを得た後で健康局長通知として7月に臓器移植法の運用指針を改正したこと。病腎移植は、現段階では医学的に妥当性がないので臨床研究を除き原則禁止にしたなどと話した。
また、昨年7月から始まっている「国外における病腎移植の研究に関する調査」の内容を報告、英国移植学会やヨーロッパ移植学会関係者のメールなどを紹介した。
これに対し各議員から、「病腎移植先進国のオーストラリア、アメリカ、イタリアなどの調査報告がなぜないのか」、「厚労省に都合のいいデータだけを出しているのではないか」との質問が出たが、「現在調査中」、「この会合には間に合わなかった」などと答えたのみだった。
患者側からは、「移植への理解を求める会」の向田陽二代表らが発言に立った。
「腎不全患者がどんどん増えていく現状で、レストア腎移植は最後の希望です。捨てる腎臓が1つあれば、1人の命が助かります。日本では、捨てられる腎臓のうち1年間で約2000個が移植に使うことができると聞いています。私たちの目から見れば、それは2000人の命が捨てられているのに等しいことになります」とレストア腎移植の推進を強く求めた。
衛藤晟一参院議員は「健腎でなければいけないというが、修復しているのであれば健腎になるのではないか。しかも、これまで国内で多くの病腎移植が行われてきた事実もある。手続き上でも、社会保険庁や厚労省へ病気で摘出した腎臓を移植したとの報告があると聞く。それなのに、いったいどうして処分対象になるのかわからない。学会の判断だというが、薬害エイズの時に煮え湯を飲まされた経験がある。学会は結局、自分たちの保身にしか走らないのはよくわかっている」と語気を強めた。
会合後の記者会見に臨んだ平沢議員は、「厚労省の学会を頼りにしたやり方には、間違いが多々あった。今回は移植学会などの言い分が、本当に適切かどうかの検討が必要ではないか。私たちはニュートラルに、しかしできるだけ早く結論を出すように頑張りたい」と答えた。

厚労省前で抗議行動をする
「移植への理解を求める会」のメンバー
移植への理解を求める会は2月19日、厚生労働省を訪問。松浪健太政務官に要望書を手渡し「レストア腎移植で助かる命が確実にある。見捨てずに1人でも救ってほしい」と強調。約4万7000人分の署名を追加提出した。また厚労省前で「愛媛県の地域医療を守れ」、「レストア腎移植を移植の第3の道として認めろ」、「万波先生の保険医登録取り消しを中止せよ」などと抗議の声を上げた。
厚労省訪問に先立ち、議員会館で開かれた国会議員との懇談会では、「免疫抑制剤の処方は非常に細かく、一人ひとりが違っている。移植後の経過をすべて熟知している万波先生がいなくなったら、どこへ行けばいいのか。死ねということか」、「保険医登録の取り消しは不正を行い、私腹を肥やしたり、患者を死なせた医師ならわかるが、多くの命を救っている万波先生は、逆に大臣表彰してほしいぐらいです」などの発言が、会員から相次いだ。
新聞各紙は、市立宇和島病院と宇和島徳洲会病院の保険医療機関指定と万波誠医師らの保険医登録取り消しの処分方針を報道。これまでもレストア腎移植は、万波医師ら以外の手でも国内外で行われ保険適用されてきた。なぜ今になって指弾されるのか、抗議の声が上がっている。

愛媛社会保険事務局に、処分方針反対を訴えて
全国から大勢の人が詰め掛けた
2月18日、「移植への理解を求める会」(向田陽二代表)のメンバー約70人が、松山市の愛媛社会保険事務局を訪れ「愛媛の地域医療破壊に抗議する要望書」を提出した。
朝日新聞(2月11日付)に続き読売新聞など各紙は、病気のために摘出された腎臓を修復して移植するレストア腎移植(いわゆる病腎移植)を巡り、市立宇和島病院と宇和島徳洲会病院の保険医療機関指定と、万波誠医師(宇和島徳洲会病院)らの保険医登録の取り消し処分が行われると報道。
要望書では、「(予定されている処分が出されれば)宇和島市を中心とする四国西南地域の医療は大混乱を来し、医療難民となった住民が、甚大な被害を受ける」と指摘。処分方針に抗議するとともに、両病院の保険医療機関指定と万波医師らの保険医登録の継続、レストア腎移植を日常的医療として認め、腎不全患者救済と医療費削減に努めることを求めている。要望書は向田代表から、愛媛社会保険事務局の古元大典局長に手渡された。
その後、向田代表ら「求める会」役員6人は古元局長と懇談。席上、「新聞各紙は、処分が決定するような報道をしています。なぜ、関係者を交えた聴聞会を実施する前から、そのような報道が流れるのでしょうか。貴局や厚生労働省側がそう発表したのですか」と問い質すと、古元局長は次のように答えたという。
「愛媛社会保険事務局および厚労省では、監査中であるため一切、処分の決定などについて明かしていません。私どもに問い合わせてきた新聞社には、まだ監査中のため、処分は決定していませんと答えています」
続いて、同会から「レストア腎移植が始まった15年前、当時の移植コーディネータが厚労省に問い合わせ、一般の移植医療と同様に保険請求ができることを確認し、これまで認められてきた事実があります。なぜ今頃になって、特殊医療のため保険適用外だと指弾されなければならないのか。
また国内では、万波医師ら以外の手によってもレストア腎移植が行われていたことは、文献を見るだけでも多数判明しています。なぜ万波医師だけが処分対象になるのか、その理由を教えていただきたい」と質問。しかし古元局長は、「監査中のため、個別の案件に関してはコメントできません」と、まったく説明はなかったという。
そして「皆さんの気持ちはわかりましたので、厚労省にも伝えます」と応じた古元局長に、向田代表をはじめ会のメンバーは「これまで私たちは何度も要望書や署名を携えてお願いしてきましたが、無視された状態です。私たち患者の思いを、どのように伝えていただけるのですか。古元局長からも、厚労省に一言お願いしていただけませんか」と訴えた。だが、「要望書は送付するだけで、私から口添えすることはできません」という返答だったとのことだ。
懇談を終えた求める会のメンバーの一人は、「懇談の機会をつくってくださったことには感謝したいが、実態は何もないに等しい対応でした」とため息をついた。

古元局長に要望書を手渡す向田代表ら
レストア腎移植への支持と再開を求めてきた「移植への理解を求める会」(会員数約1300名)は、2006年11月に発足。病腎移植問題で批判の矢面に立たされた万波医師を支援し、移植医療の新たな方法としてレストア腎移植の実現を求めて、これまでに約7万人分の署名を厚労省に提出している。今月19日には、さらに約5万人分の署名を提出した。
その一方では、海外の移植医療の実態を明らかにして、レストア腎移植の妥当性を追求するため、昨年4月に移植先進国の関係者を招き「国際腎不全シンポジウム」を開催。今年2月には、1月の「米国移植外科学会・冬季シンポジウム」で万波医師のレストア腎移植についての論文が優秀な論文トップ10に選出され、発表の場を得たことを受けて、「第2回国際腎不全シンポジウム」を実施。レストア腎移植を通常医療として行い、すでに49例の実績を上げている豪クイーンズランド大学のデビッド・ニコル教授らが来日、講演した。今では国際的な移植医療の流れとして、レストア腎移植をはじめとする臓器不足解消のあらゆる試みが行われている実態が浮き彫りになっている。
今回の抗議行動では、北海道や鹿児島など愛媛県外からも、万波医師らに移植や治療を受けている患者さんとそのご家族などが駆け付け、「地域医療を守る、賢明な医療行政を行え」と強く訴えた。
http://www.kenkoude.com/ishoku/
加戸守行・愛媛県知事は18日の定例会見で、市立宇和島病院の保険医療機関指定取り消し処分に対して、短期間でも絶対反対するとの立場を強調した。
「取り消し期間が仮に1カ月となっても、患者さんの病気が待ってくれるわけではない。5年は大変だが、1カ月ならいいという事柄ではない」と主張している。


















