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徳洲会グループ

Vol.9 2006年6月号


特集 看護師22人の仕事の意見

●ゲノム医療の案内役

患者さんの切なる願いに応えられるよう、
精一杯プロジェクトを支えています。

千葉西総合病院(千葉県) 安藤道子 看護師


「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」推進のため、グループ病院に配置されているメディカルコーディネータ。安藤看護師はその役割を果たしながら、少しでも協力者の期待に応えたいという思いを強くしています。

メディカルコーディネータとはどんな仕事ですか。

 徳洲会グループでは、文部科学省で支援している国家プロジェクト「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」に協力しています。このプロジェクトの目的は、現在治療法のない疾患の原因を探り、その治療薬を作り出すこと。そして患者さんの一人ひとりの状態を詳しく把握することで投薬前に治療効果や副作用の有無を判定し、それぞれに最も適した薬剤や投与方法の導入を可能にすること。その実現のために、協力医療機関では、対象疾患で受診している患者さんにに対して、遺伝子と血清の提供を呼びかけ、協力を求めています。その最前線に携わっているのがメディカルコーディネータなんです。

一般の患者さんにとってあまりなじみのない分野だけに、
難しい部分はありませんか。

 このプロジェクトは、ベースにヒトゲノム・遺伝子解析研究があることから、「ゲノムプロジェクト」とも呼ばれています。テレビや新聞などを通して「ゲノム」という言葉を聞いたことがある人は意外に多いので、プロジェクトの内容についてはほとんどの方に理解していただけます。ただ「ゲノム」や「遺伝子」という言葉には拒否反応を感じる人もいる。実験とか、モルモットとかいうイメージをもってしまうんですね。だから、そういった印象を与えないように気をつけて説明し、決して無理強いはしません。

具体的にはどのようなことをするのですか。

 一言でいえばインフォームドコンセント(説明と同意)です。対象疾患の患者さんに最初に依頼をするのは医師ですが、具体的な内容を説明するのは私たちの仕事。まずは、患者さんの理解度に応じて、プロジェクトや協力の内容をわかりやすく説明します。相手は当然疾患を抱えていらっしゃるわけですから、体調を最優先に考え、何回かに分けて説明することもあります。
 これ以外に、検体(血液、爪、口腔粘膜など)の採取、対象となる患者さんの情報収集、ご協力いただいた方の追跡調査、事務手続き、本部との連絡などを行っています。

特に気をつけていることはありますか。

 ほとんどが当院で継続的に治療を受けておられる患者さんが対象ですから、これまでに築いてきた信頼関係を損なうことがないよう、気を配っています。患者さんの体調面はもちろん、個人情報の取り扱いには細心の注意を払っています。

コーディネータの仕事についてどのように感じていますか。

 外来に所属していたときに養成講座を受講して、メディカルコーディネータになりました。外来との兼任を経て専任になりましたが、最初は、私自身この仕事がどういう意義をもっているのか、よくわかっていなかったような気がします。そんな私を育ててくださったのが患者さん。みなさんのプロジェクトに寄せる期待や願いを身近に感じるうちに、良い結果を得られるよう頑張らなければという思いが強くなりました。不自由な肢体で検査に協力してくださったALS患者さん、自身の治療に反映されなくても構わないという高齢患者さん、せめて生きているうちに何らかの成果を知ることができたらというがん患者さん・・・そんなみなさんの切実な思いが込められたプロジェクトにかかわることができたのは、看護師として、きっと大きな財産になると思います。
 またこの仕事に出合ったことで、看護師の活躍の場は、さまざまな分野に広がっていることを実感しました。治験や予防医療などにも、興味が広がっているところです。


配属の希望を100%実現
岸和田徳洲会病院

熊野二三江看護部長


岸和田徳洲会病院では、新入職看護師の希望どおりの部署への配属を実施しています。平成16年度から始まった試みで、看護学校生や就職活動中の看護師の間で大きな反響が起きました。

休職者からの反響が大きく離職率もほぼ半分に低下

 新入職の看護師が、自分の希望どおりの部署で勤務できる──。
 岸和田徳洲会病院では、2年前からこの試みを始めました。昨年からは、看護学校や同院のホームページなどで大きく告知しています。これを知った求職者からは、「本当に希望部署で働けるのですか?」との問い合わせがあるなど、大きな反響がありました。
 そのためか、同院では30%以上あった看護師の離職率が、平成17年度から10.08%に低下するなどの変化が起きました。同院の熊野二三江看護部長に、この試みについて訊いてみました。
 「まず平成15年10月に院内の看護師に配属希望を聞いて配置換えを行いました。その結果、これまで固定されていた各部署の活性化にもつながりました。そして16年度の入職から、第2希望まで訊ねて配属するようにしました。いままで看護師の配属は、足りないところへ動かすコマのように扱った一面があったのは確かです。
 しかし、自分の目指す専門が決まっている看護師には、希望をかなえる配慮が必要です。また認定看護師を育成する上でも、それが不可欠となります。看護師も自分が望む部署だったら、少々の壁に突き当たってもがんばることができるでしょう」

自分が希望した部署だったので乗り越えられた

 昨春入職した田中裕介看護師は、自ら希望した急性期病棟を担当。
 「希望した急性期の看護ができて日々の業務に充実を感じています。慣れ始めてきた時期には看護について悩んだこともありましたが、望んだ部署だったので乗り越えられた気がします。ここには入退院を繰り返すいろいろな患者さんがおられ、さまざまな経験を積めています。今後は急性期の看護だけの限らず、どんな看護をめざすべきかを自分なりに考えていきたいと思います」と話します。
 入職して1年になる黒山朝美看護師は「ハイケアユニット(HCU)に勤務しています。看護学校時代に実習体験していましたが、もっと勉強したいと思ってHCUを選びました。配属部署を希望できたことも、当院に入職した理由の一つです」と振り返ります。
 新人看護師は、初めての夜勤経験や自分の看護技術の未熟さなどに、悩み始める時期があります。同院では、この時期を同期の仲間同士で励まし合い、乗り切っているようです。将来こうなりたい、という強い気持ちで入職した看護師ほど、看護技術の習得や成長も早いようです。

希望配置を実現するため受け入れる側の管理能力をアップ

 熊野看護部長は、希望は配属を実現するために看護部としてどのように取り組んだのか話してくれました。
 「希望配属を実現させるためには、看護部の要となる師長職の管理能力を高めることが必要だと考えました。そこで師長さんには、問題解決に取り組むトレーニングでその能力を開発し、現状分析する情報収集力を養うなど自己研鑽してもらいました。師長が成長をすることで、続いて主任職が成長しました。看護師の適性を見極められるなど、現場の管理能力が身に付くことで受け入れる側の器量が大きくなり、配置の希望を実現できるようになりました」
 同院では定期的に面接を行い、途中で配属変更を希望した場合にも相談し応じています。また、看護能力を伸ばしてさらに成長してもらいたい人材や希望者には、配属先を変える交換研修を実施するなど新しい試みにも着手しています。